2020年6月6日土曜日

[iOS13, Xcode11, ShareExtension, 共有] 「〜で開く」ではなく「〜にコピー」にしたい。

1. 共有には2種類ある


自分で実装するまであまり考えたことがなかったのだが、共有には「Clipbox+」と「"Clipbox+"で開く」のように、「で開く」が付かない物と付く物の2種類がある。
そして動きが違う。
赤丸は編集モードのようなものが開くが、青丸はアプリ(ここではClipbox+)に遷移する。


2. Share Extensionを使った方法


赤丸はShare Extensionを実装すると出てくるようになる。
こちらのページが詳しい。

何をしないといけないかというと、Share Extension機能をもった別のBundle ID(例えばClipbox.shareとか)を持つ、新しいアプリを作らないといけない。

この新しく作ったアプリのinfo.plist内NSExtensionActivationRuleで、サポートしている機能を記述することにより、iOSに自分が持つ機能を宣言することになる。
結果、共有ボタンを押した時にiOSが、候補(Suggestions)に、新しく作ったアプリのCFBundleDisplayNameを表示できるようになる。

候補から新しく作ったアプリを押下すると、新しく作ったアプリがキックされ、標準で用意されているPostを押下すると、didSelectPost()でURL名、ファイル名、文字列等が獲得できる。

獲得したものを元のアプリに渡せば一件落着のはずなのだが、実は、新しく作ったアプリと、元のアプリは別のものなので、直接データのやりとりはできない。

この障壁を回避するために、App Groupsと言われる共有空間が用意されている。
新しく作ったアプリと、元のアプリで同じApp Groupsを定義して使う。
Xcode上で実施すればうまくいくはずなのだが、うまく自動生成できない場合は、Apple Developper Program「Certificates, Identifiers & Profiles」のページで手動登録するしかない。

作成した共有空間にデータを書き出す方法としては、ググると、plistでの方法が、

let userDefaults = UserDefaults(suiteName: "group.XXX.XXX")
userDefaults.set(item, forKey: "text")
userDefaults.synchronize()


紹介されているが、後々のことを考えると、ファイルやりとりの方が便利と思う。

let dst = FileManager.default.containerURL(forSecurityApplicationGroupIdentifier: "group.XXX.XXX")?.appendingPathComponent("test.txt")
item.write(to: dst, atomically: true, encoding: .utf8)

3. Share Extension :アプリをキックできない


ここまで頑張って実装しても、コード上から元アプリを呼び出すことができないので、元アプリをユーザーが立ち上げなくてはならず格好が悪い。
iOSの仕様変更で今はできない。昔はできていただけに情けない(こちらに詳しい)。

でもAdobeはできてるんだよね。何か方法はあるのだろう。


4. Document Content Type UTIを使った方法


表題の「〜で開く」「〜にコピー」の話だが、Windowsで言うところの拡張子の関連付けみたいなものだろうか、UTIで設定すればいいだけ。
Share Extensionに比べると相当楽。

ただ以下の点でつまづいた。
・public.textを指定しても、標準アプリの「メモ」からは呼び出せない。
・「〜にコピー」にしたいのに、「〜で開く」になってしまう。

それぞれの処方箋は以下のとおり。
【処方箋】標準アプリの「メモ」はそもそもUTIが謎。あきらめてShare Extensionの方法で対応した。

【処方箋】「〜で開く」は、LSSupportsOpeningDocumentsInPlaceを削除すると「〜にコピー」にできる。(*1
iOSは、LSSupportsOpeningDocumentsInPlace=NOが必要。(*2
MacOSは、LSSupportsOpeningDocumentsInPlaceは削除。(*3

*1 以前は、ApplicationDelegateで受け取るために、LSSupportsOpeningDocumentsInPlaceが必要だったが、今は常にSceneDelegateが呼ばれる仕様に変わったようなので、削除することができる。

*2 iOSアプリをAppStoreにあげる時、LSSupportsOpeningDocumentsInPlaceがないと、Document Typeを指定してるくせにと怒られる。

*3 一方でMacOSアプリでは、LSSupportsOpeningDocumentsInPlace=NOは許されないので、削除するしかない。


5. ShareExtention:public.textだけどpublic-file-urlもサポートすべき例


public.text系のアプリから、青丸の「〜でコピー」を選択すればうまくいくのだが、試しに赤丸のShare Extensionも試してみると、UTTypeText(public-text)が空っぽだった。

しかし、kUTTypeFileURL(public-file-url)には、ファイルパスが入っていたので、どうやらこれを使えということらしい。
標準の「メッセージ」や「メール」は、当然のことながら、うまく実装できていた(下図)。



2020年6月2日火曜日

[Swift5, Xcode11] Mac Catalyst で悪戦苦闘

1. archiveできない!?


古いXcodeを使っていた時のくせで、archiveの時は[Generic iOS Device]を選ぶものと思い込んでいた。
でもそれだと、ipaファイルしか生成されない。

【処方箋】正解は、[My Mac]を選んでarchive


2. スワイプできなくねぇ?


SceneKit使っていて、2本指によるスワイプ(位置移動)、ピンチイン・アウト(拡大縮小)ができなかった。ドラッグ(回転)は1本指なのでできる。
ググって見ると、ベータ版の頃から話題になっているよう。重大な不具合に思えるが、現状、直されていないし、制限事項にも上がっていない⁉️

option押しながらのマウス操作で、スワイプ ・ドラッグができるのかと思いきや、なんと用意されていない。
Mac miniとかMac Proでは、入力デバイスとしてタブレットが必要になってしまう。

SceneKit、ARKitを使ったiOSアプリでは、Mac Catalyst対応しました!って能天気にリリースできないという厳しい現実。

【処方箋】別途UIを実装する逃げしかない模様。


3. TableViewも変じゃねぇ?


複数選択(multiple selection)が働かない。

【処方箋】willSelectRowAtとwillDeselectRowAtで、むりやり実装するしか無さそう。

mizuBuro_cureさんの記事が参考になった。

このほかハイライト色(GrayとBlueの差別化)にも問題がありそうなので、複数選択をむりやり実装すると、なんか変な感じになる。
がんばったとしても、開発者のバグをカバーする努力に対して、App Store「アプリ審査」が冷や水を浴びせる可能性が高い。


4. SplitViewの幅おかしくねぇ?


起動時、primary側の幅がせまい。
minimum値を設定しても、それを下回る幅で起動する。

【処方箋】maxとminに同じ値を設定して逃げた。
splitViewController.preferredDisplayMode = .allVisible
splitViewController.minimumPrimaryColumnWidth = 300
splitViewController.maximumPrimaryColumnWidth = 300


5. アプリをクリーンインストールできなくねぇ?


~/Library/Containers/(bundle ID)/Data/Document
~/Library/Containers/(bundle ID)/Data/Library/Application Support/(app)
を参照してるので、アプリケーションフォルダから「通常通り」に削除しても、設定(plistやCoreDataなどなど)は残存してしまう。

【処方箋】Terminalで、defaults delete (Bunndle ID)を実行。


※App StoreでReady for Saleになってから確認したが、正式リリース版では「通常通り」の削除で残存物はなく、クリーンインストールは実現できた。


6. アプリ内課金ができない?


request = SKProductsRequest(productIdentifiers: Set([”XXX.XXX.XXX”]))
request.delegate = self
request.start()

のrequestの永続性が、iOSとは違うみたい。

【処方箋】requestは、SKProductsRequestDelegateを継承しているControllerで保持する。



7. ShareExtensionはむずかしい


私のアプリの作りが悪いのか、NSExtensionPrincipalClassを指定しないと、App Storeに上がらなかった。結果、NSExtensionMainStoryboardは排他の関係となるので、削除した。

MainStoryboardがなくなると、@Objcでクラス名を宣言しないと、OSは呼んでくれなくなる。
例:
@objc(ShareViewController)
class ShareViewController: SLComposeServiceViewController {
...
}


8. 勝手にメニューが作成されてしまう


勝手に作ってくれるのはいいのだけれど、問題だらけ。

1. Bundle display nameが使われない。XXX.appのXXXの部分が使われてしまう。


【処方箋】PRODUCT_NAMEを変えるしかなさそう。


2. File > Preferenceで、Version、Build、Acknowledgementが出てくるが空っぽ。


RunScriptで以下のようなスクリプトを走らせてるんだけど、これじゃぜんぜんダメ。

version=$(/usr/libexec/PlistBuddy -c "Print CFBundleShortVersionString" "$PROJECT_DIR/$INFOPLIST_FILE")

build=$CURRENT_PROJECT_VERSION

root=${CODESIGNING_FOLDER_PATH}/Settings.bundle/Root.plist

if test -f $root; then

/usr/libexec/PlistBuddy -c "Set PreferenceSpecifiers:1:DefaultValue $version" "$root"

/usr/libexec/PlistBuddy -c "Set PreferenceSpecifiers:2:DefaultValue $build" "$root"

fi



【処方箋】以下のようにしてほぼ削除。

extension AppDelegate {

    override func buildMenu(with builder: UIMenuBuilder) {

        super.buildMenu(with: builder)

        guard builder.system == .main else { return }

        builder.remove(menu: .preferences)

        builder.remove(menu: .services)

        builder.remove(menu: .file)

        builder.remove(menu: .edit)

        builder.remove(menu: .format)

        builder.remove(menu: .view)

        builder.remove(menu: .window)

        builder.remove(menu: .help)

    }

}


「Helpがないと審査に通らない」という書き込みも見たような気がするが、とりあえずこれで挑戦してみる。

追記:
Aboutのコピーライトだけは、NSHumanReadableCopyrightで簡単にできた。